不登校は連鎖する。
2026/09/30
25年前、ボクは突然の「顔面麻痺」に襲われた。
どの病院に行っても、治るか治らないかは「五分五分」と言われた。
じゃあ、その原因は何? と訊いても、医師の回答は「人それぞれ」であるという。
納得ができないボクは、その後、病院を13軒渡り歩いた。
そして14軒目のクリニックは、初めてボクの話を60分聞いてくれた。
で、診断名は「うつ」であった。
そのクリニックで診断書を書いてもらって、医師の勧めもあり、ボクは長期の職場離脱をすることになったのだ。
今とは違い、当時は「うつ」とか「メンタル」とかいった言葉は、日常ではなかった。
医師は、ボクの顔面麻痺は、極度のストレスによる精神からのSOSであるという。
言われて、ものすごく納得することができた。
ボクはかなりの無理をしていた。
できないことも「できる」と言い張って、仕事を抱えていた。
つまりカッコをつけていたのである。
そういった傲慢さに対し、ボクの体は顔面麻痺を起こして、危機をボクに知らせてくれたのだ。
だから、「うつ」と診断されて、ボクはどこかホットしていた。
もう頑張らなくてもいい。カッコつけなくてもいい。
そんな安堵の気持ちが、ボクを満たしていたことを覚えている。
学校に休職届を提出した後、ボクは学校からの情報を遮断していた。
それでも、月に一度は「経過報告」と称する儀式があったから、ボクは学校に出向いて、校長に報告を行っていた。
そしたら、校長から驚くべきことを聞かされた。
「先生が休職してから、立て続けに二人の休職者が出た」と。
「休職理由は、二人とも『うつ』と『メンタル不調』である」と。
「いや~、参ったよ」と。
その後の社会が歩むことになる、「社員のメンタルと向き合う職場」のさきがけにボクの職場はなっていたのだ。
で、後から訊いた。「その二人とは誰なのか」と。
「〇〇先生と〇〇先生」
なるほど、当時のボクと同じか、それ以上の状況下でストレスを溜め込んでいた先生たちだ。
きっと、その先生たちにとっては、「診断書からの休職」というボクの行為がトリガーとなって、一気に休職という選択になったのだろう。
つまり「うつ」と「休職」が連鎖したのである。
ところで、不登校が未だ「登校拒否」と呼ばれていた頃、それが連鎖することはなかった。
当時の「登校拒否」はかなり特殊な現象であり、世間に広がることも、あまり想定していなかった。
ところが2000年代以降の「不登校」は、その増え方を追えば、年々右肩上がり。
それが現在でも続いている。
小中学校に限っても、全国で、ほぼ年間に一万人の増加だ。
学校が苦しい、人間関係がキツイ、圧が強い、とにかく息苦しい…。
そういう風に思いながら学校生活を送っている子どもたちがたくさんいる。
そのようなことになっているのは、学校という人間集団に「構造上の問題」が絡んでいるからだとボクは睨んでいる。
学校の「構造」に問題があるから、年々、その「欠陥構造」の中から、不登校が生まれてくるのだ。
ボクが罹った「うつ」が、職場の構造上の問題を遠因とするなら、子どもたちが陥っている「不登校」は、学校の構造上の問題を遠因とする。
たぶん、それは間違っていない。
つまり学校にも「病理」が棲みついている。
その「病理」を忌諱することで、子どもたちは己の精神を何とか繋ぎとめている。
それが「不登校」の正体であるとすれば…、
今後も、ますます「不登校」は…、連鎖することになるだろう。
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