カウンセリングとコーチング。
2026/06/27
かつて、25年以上も前に、都内で心理学講座を学んでいた時期があった。
まだメンタルヘルスがどうのこうのと言われる以前、未だ社会の雰囲気が「どこか牧歌的であった」頃に、ボクは「心理学」に出会った。
その頃、ボクは今で言う「メンタル」が完全におかしくなっていて、通院もしていた。
その通院を決めたクリニックは、当時のボクの症状に対して、ボクが初めて納得のいく回答を得ることができたクリニックだ。
様々な病院のドアを叩き続けて、やっと14件目に出会ったそのクリニックには、今でも毎月通っている。
そこの先生(女医)に言われた。
「あなた少し『心理学』でも学んだほうがいいわよ」と。
「今までの自分がいかに『無理してきた』か、いかに『かっこつけてきた』か…、ということについて客観的に知るべきよ」と。
自分で言うのもなんだが、ボクはかなり正義感が強い。
無謀にもあらゆる理不尽には、本能的に立ち向かってしまう癖がある。
つまり「無理をしてかっこをつけていた」ワケだ。
だから、どんな仕事も、どんな相談事も、それを断わることはしなかった。
「できない…」、それを口にすることは敗北に等しかったのである。
「『できない…』それを言わなかったことが、あなたの心を蝕んだ最大の原因よ…」と女医は言った。
ボクはいたく納得した。
そして久々に心が晴れた。
「できない…」を言っていいんだ…。
それからのボクは、職場で「できない」「やらない」を連発した。
部活の顧問を辞めた。
放課後の補習もやめた。
夕方の5時以降は、極力働くことを避けた。
当然にトラブルにはなる。
でもその空いた(夕方以降の)時間を使って、ボクは「心理学講座」を受講することができるようになった。
その講座には「カウンセラー養成講座」にもつながっていて、ボクはそれも受講しようと思った。
そのことを件の女医に相談した。
「それはやめた方がいいわね」…、と女医はあっさりと言った。
「あなたは正義感が強くて、主張が強くて、他人への影響力も強い人なの…」
「そんな人はカウンセラーにはむいてないわ」
「あなたには、そうね、どちらかと言えば『コーチング』がむいてるんじゃないかな…」
そう言われてみて、ボクはハタっと気づいた。
学校という職場で、ボクの元には結構たくさんの教員や生徒が相談にくる。
同じような人々が何故ボクの元に途切れることなく相談にくるのか…。
ボクはそういった人々の相談を受けて(悩みを聞いて)…、それをじっくりと「傾聴していた」…、ワケがない。
「傾聴」せずに、ボクは「ボクの意見」「ボクの見解」をハッキリと言い渡していた。
それを聴く相談者は、けれどもみるみるうちに表情が明るくなってくる。
「目が覚めました」…、「心が軽くなりました」…、そんな風にボクに言ってくれる。
ボクも、悪い気はしない。
でも、それは絶対にカウンセリングなんかじゃない。
知らず知らずのうちに、ボクはカウンセリング(傾聴)ではなく「コーチング」を実践していたのだ。
結局、ボクは「カウンセリング養成講座」を受講することはなかった。
「受講しても受からないだろう」…、と、養成講座を受け持つ講師(心理士)にも言われた。
ボクは「我が強い」。
ボクは「圧が強い」。
ボクは「主張が強い」。
けれども、そんなボクにも何とか教員は勤まった。
今じゃ「教育相談」もやっている。
そう、かなり「アクの強い教育相談」だ。
相談の中には、進路・進学相談の他に、当然に不登校相談もある。
つまり、不登校の相談にも、ボクは「アクの強い回答」を返している。
そういう人間である。
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